大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和42年(ラ)81号 決定 1967年5月15日

抗告人

甲野太郎

代理人弁護士

福原忠男

主文

本件抗告を棄却する。

理由

抗告人の「抗告の趣旨」、並びに「抗告の原因」は、別紙記載のとおりである。

ところで、本件につき、当裁判所のなす認定判断は、原審判の理由記載と同一であるからこれをここに引用する。

抗告人は、旧国籍法第一条にいわゆる「子は出生の時その父が日本人なるときはこれを日本人とす」とあるその父は法律上の父に限らず自然的血縁だけによる事実上の父をも含む旨るる主張するけれども、民法上父子の親子関係が成立するためには右のように単なる父子の自然的血縁があることだけでは足らず、必ずや、子が嫡出子たる場合か、父が婚姻外の子を認知(裁判上のものを含む)した場合なるを要するは、いうをまたないところ、出生による国民の国籍取得の原因につき規定した右旧国籍法第一条が、ひとり、これと異り、抗告人主張のような趣旨で、事実上の父を含め「その父が日本人なるとき」云々と規定したものとは到底考えられない。同国籍法の規定が出生による国籍の取得につきこの場合いわゆる血統主義によつたことも、抗告人主張のように解釈すべき根拠となすに足りない。

以上の次第ゆえ、抗告人の就籍許可申立をその説示するところにより理由がないものとして排斥した原審判は相当で、本件抗告は理由がないので、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。(福島逸雄 武藤英一 三和田大士)

「抗告の趣旨」、「抗告の原因」の要旨《省略》

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例